「なんともない。それよりも莉央こそ大丈夫なのか。顔色が良くないぞ」
「そう?」


 言われて手のひらで頬を挟むが、確かにいつもよりひんやりと冷たい気がした。


「あたためてやろうか」


 そんな莉央に、高嶺が不敵に笑いながら顔を寄せる。


「どうやって?」


 温めるもなにも、高嶺だって身一つのはずだ。

 車の中のように、手でも握ってくれるのだろうかと見つめ返すと、
「こうする」
甘く低い声でささやきながら、高嶺は莉央に口付けた。


「……っ!」


 ビクッと莉央の体が揺れる。