(こうやってみると、正智さんってどこか品があるのよね。手がつけられない暴れん坊怪獣だけど、上品っていうか……。所作がきれいだからかな。)
「……莉央?」
気配を感じ取ったのか、高嶺がお盆を持ったままぼうっと立ち尽くしている莉央を振り返る。
見とれていたのが恥ずかしく、慌てて湯のみを高嶺の前に置いたのだが、手元が狂って、湯のみはひっくり返ってしまった。
「あっ、ごめんなさい!」
テーブルの上に広がっていくお茶をみて、布巾でそれを拭き取ろうとするが、
「大丈夫だ」
高嶺は慌てる莉央の手から布巾を取り、手早く拭いてしまった。
「……ごめんなさい。濡れなかった?」
しょんぼりする莉央は、高嶺の隣に、ペタンと座り込む。