「あとひとつだけ、莉央の幼なじみとしてよろしいですか」
「なんだよ……」


 莉央と呼び捨てにした羽澄の変わりように、若干嫌な予感を覚えるが、羽澄は高嶺のそんな表情がもっと見たいと言わんばかりに身を乗り出す。


「実は僕、莉央が幼稚園の間は一緒にお風呂に入っていたし、莉央が四年生になるまで、週末は必ず一緒のお布団で寝ていたんだよね」
「……はぁ!?」
「ではごきげんよう」


 ぽかんと口を開けて立ち尽くす高嶺をあざ笑うかのように、羽澄はサッとハンドルを握りアクセルを踏む。


「おいこら、ちょっと待てっ!!」


 少しばかり追いかけたが、完全なる意趣返しに、高嶺はなすすべがない。

「はぁ……」

 深くため息をつき、きょとんとした表情で門の前に立っている莉央を振り返り、固く心に誓う。