「調べたのか」
「うちは祖父の代から不動産業ですからね」
不動産業と聞いて、高嶺は全てを理解した。
「俺もそのつもりでここに来た」
「なるほど。けじめをつけるためのスーツというわけですか」
「ああ」
高嶺も、莉央のそばにずっといた彼のことを軽んじているわけではない。
莉央にとって、彼は身内のようなものだということは頭ではわかるのだが、男としてどうしても嫉妬めいた気持ちを抱いてしまうのだ。
(あまり嫉妬すると莉央に嫌がられるかもしれない。少しくらいは抑えないとな。)
そう思いながら、高嶺は車を降りた。
すると羽澄は車窓を開け、高嶺を見あげ、にっこりと微笑む。