「そこの人! わざと羽澄ちゃんを刺激するのやめてください!!!」

 小松さんもびっくりな勢いの羽澄と、なぜか勝ち誇ったような顔をしている高嶺を莉央は見比べた。


「わざとなの!?」
「さあ、どうだろうな」


 高嶺はくすくすと笑いながら莉央の額に唇を寄せる。まるで反省していない。
 ワザとでもそうでなくても、まるで子供の喧嘩だった。

(本当に困った人なんだから……。)


 そう思いながらも莉央は、結局高嶺の手を振りほどくことなどできないのだ。

 そして羽澄の機嫌を直すのに時間がかかったのは言うまでもない。


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