「たっ、高嶺さん、その、ちょっと!」
ギューッと高嶺の胸を押し返そうとするが、
「ダメだ」
高嶺は即答でそれを却下、腕にさらに力を込め、莉央の首筋のあたりに顔をうずめながら羽澄を見返した。
(なんなの、なんでこんなことになってるの!?)
羽澄が心配性なのは慣れっこだが、その羽澄相手に高嶺が妙に突っかかっているのが気になる。
二人の間に、バリバリと見えない電流が流れているような気がした莉央は、いったいどうしたらいいのかとオロオロしながら二人を見比べた。
「お嬢様はお前の【モノ】じゃないんだが?」
「ああ、そうだな。莉央の心は莉央のものだ。だが俺はしたいようにしてるだけで、お前にどうこう言われる筋合いはない」
「お嬢様が嫌がっているのがわからないのか」
「……嫌がってる?」
そこで高嶺はほんの少し力を緩め、莉央の顔を覗き込む。