「つもりだったって、やっぱりバカ!」
「あっ!」
「なに!?」
「そういえば初めて名前を呼んだな……正智と」


 その瞬間、また高嶺は実に幸せそうに、莉央を見て、眩しそうに微笑む。

 死にそうになったのに、なぜこの男は幸せそうに微笑むのだ。


「なっ……なんなのよ、もうっ……」


 こんな簡単に許してはいけないと思ったのに、爆発しそうだった怒りが急速に鎮まっていく。

 この男はおかしい。