全身があちこちにぶつかって、衝撃が走る。

(痛く……ない?)

 恐る恐る目を開ければ、莉央は高嶺の体の上に馬乗りになっていた。


「莉央、怪我はないか!?」


 上半身を起こした高嶺が、心配そうに莉央の頰に手をやり、腕や肩に触れる。

 死にそうになっていたのは彼だというのに、このやりとりはなんなのだろう。


「おっ……おどかさないでよ、あなた馬鹿なの!? 頭おかしいわよ!」


 頭おかしいとは最低な悪口だが、莉央は怒りのあまりガタガタと震えていた。
 両手で高嶺の胸倉をつかみ、揺さぶった。