叫んだ瞬間、莉央は自分の言葉に打ちのめされた。心の叫びに、本心に気づかされた。
そうだ。そうなのだ。私らしくというのは、そういうことなのだ。
一人の人間として認められたい。
私はずっと、そうやっていきたかったのだ。
「……っ!」
感極まった莉央の二つの目から、大粒の涙が溢れた。
ポロポロと真珠のような涙が両目から零れ落ちる。
莉央は思う。
驚いたようにひざまずいたまま自分を見上げるこの男に、自分はどんな風に映っているのだろうか。
十年間お人形だと思っていた女の思わぬ反乱に、きっと彼の熱は冷めてしまうだろう。
けれど莉央は目を見開いたまま、唇をきつく噛み締め高嶺を見下ろした。
目をそらさずに。