けれど莉央は、高嶺の前では取り繕えない。
自分が抱えてる本当のことを、さらけ出さないわけにはいかない。
「これから先の未来、こんなことがないってどうして言えるの……」
「なに?」
「だからっ……今までずっと私のこと無視してきたあなたが、明日も私のこと思ってる保証がどこにあるの……!」
莉央は震えながら、自分の腕をつかむ高嶺の手をつかんで、ひきはがす。
強い力ではないが、莉央の拒絶を感じて、高嶺はなすすべがない。
振りほどかれた腕が、だらんと下がった。
「もう……無視されるのも、あなたの一方的な思惑に巻き込まれるのも、イヤなの……っ! 自分一人の足で立てないまま、あなたに頼って、あなただけを見つめて自分を見失うくらいなら……一人の方がずっといいっ!」