なんだか様子がおかしい気がした。
「羽澄?」
「いえ、なんでもありません。ではこれを置いてまいりますのでお待ちください」
羽澄は封筒をひらひらさせると、今度はエレベーターに乗って戻っていく。
莉央は受付に置いてあるソファに腰を下ろし、ぼうっと外を眺めていた。
高嶺は今頃何をしているんだろう。
朝、もしかしたらワイドショーで報道されているのではないかと思ったのだが、とても見る気にはなれなかった。
(逃げたところで解決するわけではないのに……。)
けれどあのまま高嶺の元にいることもできない。
莉央ははあっとため息をついて、羽澄はまだかと背後のエレベーターを振り返った。