「羽澄、自分でできるから……」
「お嬢さまは案外適当なところがあるので、ちゃんと乾かさないと」

 丁寧なブローで莉央の髪がサラサラつやつやと乾いていく。

「そういって莉央ちゃまに触りたいだけじゃん。このムッツリすけべー」
「なっ、姉さん、やめてくれるかそういうの! 俺は純粋にお嬢さまの下僕だっつーの!」
「げっ、下僕!?」


 嘘とも思えない声色の羽澄の言葉に、莉央は目を丸くするが、羽澄はキリッと真面目な顔をしてうなずいた。


「そのつもりでお仕えしています」
「重っ……ある意味普通の男より重っ!」


 玲子は唖然としながら、ぽかんとしている莉央をぎゅっと抱きしめる。


「まぁ、要するにあれよ。昔みたいな主従関係はなくても、私たちは好きで莉央ちゃまのそばにいるのよ。だから好意には甘えればいいの」
「……はい。ごめんなさい。ありがとう」