「莉央ちゃま、お腹空いてなぁい?」


 羽澄に対する時とは大違いの優しい声で、玲子は莉央の顔を覗き込む。


「はい、大丈夫です」
「ん〜、莉央ちゃまは辛い時でも大丈夫って笑うからなぁ。よしよし、シャワー浴びておいで。フルーツジュース作ってあげるからね。それ飲んで今日は寝ようね。あ、今日は私の部屋で寝るのよ。一緒のベッドよ〜ウフフッ!」


 怒涛の勢いで玲子は一階のキッチンへと向かう。


「お嬢さま、騒がしい姉ですが、あれでもいないよりはマシでしょう。気が紛れます」
「ちょっと、聞こえてるわよ!」
「オニババですね、地獄耳です。怖い怖い」


 羽澄の軽口に莉央はクスリと笑う。


 最上階フロアは二階建てである。一階がキッチンとダイニング、リビング、二階は寝室とバスルームになっていた。