賢いチワワの小松さんは自分のことを覚えてくれているだろうか……。

 そこでふと、待てができる小松さんと張り合った高嶺のことを思い出した。

 子供のような顔で、自慢げだった。

 ちょっとしたことで思い出してしまうのは彼の存在が莉央の二十六年の大半を占めているからだ。良くも悪くも。

 莉央は唇をかみしめ、羽澄の後をついて歩く。


 羽澄が大きなドアをカードキーで開けると、
「莉央ちゃま〜〜〜!!!!」
巻き髪を揺らして、タンクトップにスエットパンツ姿の、長身のセクシー美女が飛びついてきた。


「わわっ!?」


 かなりの勢いで飛びかかられたのでよろめいた。強い力で抱きしめられてかかとが持ち上がる。