車の後部座席のトランクに荷物を乗せ、助手席に乗り込む。かすかに羽澄が使っている香水の匂いがして、改めて帰ってきたのだと実感した。


「お嬢さま、後部座席でなくていいのですか」
「うん」
「もう遅いので、今日は我が家に泊まってください。少し寝ていてもいいですよ」
「うん……ごめんね」


 さすがに日付が変わる前のこんな時間に、実家に戻るのは気が引ける。母をあまり心配させたくない。

 駐車場をゆっくり車が出て行く。

 眠くはないけれど、莉央は目を閉じた。



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