新幹線が京都駅のホームに滑り込む。
三時間弱で見慣れた景色に飛び込んで、ほっとするような悲しいような、東京にいたこと自体まるで夢でも見ているような気分になった。
新幹線から降りてトランクを引くと、そのトランクがひよいっと莉央の手を離れ軽くなった。
顔を上げると、羽澄だった。
ホームまで迎えに来てくれていたのだ。
「羽澄……」
迎えに来てもらってなんだが、あわせる顔がない。
着慣れた感じのシャツにジャケット姿の羽澄は、立ち止まる莉央の前に回り込み、肩に手を乗せた。
「なんて顔なさってるんです」
「ごめんなさい……」
「謝ることなんてないんですよ」
「でも……嘘をついていたから。ごめんなさい」
莉央は深々と頭をさげる。
すると羽澄は軽い調子で、肩をすくめる。
「まぁ、テレビ見てひっくり返りそうになりましたし、慌ててホテルに電話したらお嬢様はいないし、羽澄の心臓は止まりそうでしたけどね〜」
莉央の気持ちを軽くしようと、わざと明るく振舞っているのだ。それがわかるから余計辛い。