嫌な予感がする。
 首筋のあたりがざわざわとうごめく。

 エレベーターに乗り込んで部屋まで戻る。

 高嶺が入ると同時に、自動で部屋の明かりが灯る。


「莉央!」


 莉央の名前を呼び、ありとあらゆるところを探す。

 メモでも、書き置きが残ってないかと、出て行ったと聞いてもすぐには信じられずに、ベッドルームから浴室まで、広いリビングも、もしかしてテーブルの下で以前のように丸くなって眠ってないかと、這いつくばってその姿を探した。

 ジャケットの内ポケットに入れていたスマホが震える。

 そうだ、電話をかければよかったのだと今更気づいたが、かけてきたのは天宮だった。


『マサ、』
「莉央がいない!」
『は?』
「莉央が、いない……出かけて、帰ってきてない……らしい」