白いトルコキキョウとグリーンのコントラストが鮮やかなアレンジメントだった。
「とてもきれいですね」
顔なじみになったコンシェルジェの女性がにこりと微笑む。
「そうですね」
莉央も精一杯微笑んで、部屋へと戻る。
するとまるで待ち構えていたかのようにスマホが鳴り始める。
心臓が跳ね上がる。
悲しいかな、高嶺の顔がまず一番に浮かんだが、着信は羽澄からだった。
「はい」
『お嬢様、今どこにいらっしゃるんです』
電話の向こうの羽澄は、今まで聞いたことがないような怖い声をしていた。
誤魔化せない。嘘もきっとすぐにバレる。
観念して答える。