「そう? では私は戻りますね。ここに名刺を置いておきますから、何かあったら二十四時間、いつでもかけてきてくださいね」


 水森は伝票を持って立ち上がる。


「お世話になります」


 莉央も立ち上がり、深々と頭を下げた。



 どれくらい経ったのだろう。
 水森がいなくなってから、全身から力が抜けた。

 なんの音も聞こえない。
 ただ、暑いような寒いような、変な感覚が全身を包んでいる。

 椅子に崩れるように腰を下ろす。
 まるで土砂降りの雨にでも降られたかのように、全身がひんやりして、重かった。