返事に困っていると、水森はやんわりと河合を押しとどめた。


「今日は河合先生の個展なのですから、皆さん河合先生とお話させていただきたいと思っているはずですよ。さぁ、参りましょう」
「ええっ、ちょっと水森ちゃん強引だね!?」


 水森は河合を元いた輪の中心へと押しやり、消えてしまったが、すぐに戻ってきて莉央をやんわりと壁際へと誘導する。


「申し訳ありません、騒がしくて。河合先生も天真爛漫な方で、悪気があるわけではないんですが」
「いえ、わかります。私こそ急に来て申し訳ありませんでした。ご挨拶に伺いました」


 そして莉央は持っていた菓子を紙袋から出し、差し出した。