「はい、莉央です」
『設楽です。画が全て届きました。一応莉央にも確認してもらいたいんですが、今からアトリエに来られますか?』
「あっ、ありがとうございます! すぐに行きます!」
設楽の元に京都から莉央の画が届いたという連絡だった。
莉央は急いで身支度を整え、設楽のアトリエへと向かう。
離婚後一緒に海外へ行こうと誘われたのはたった数日前のことだ。
だが設楽はさすがに大人の男らしく、何事もなかったかのように莉央をアトリエに招き入れた。
広いリビングには綺麗に莉央の画が並べ、分類されている。
「あ、懐かしい……!」
莉央がこの十年書き溜めた画である。かなりの数だ。思わず手にとって眺めていると、設楽がまた別に分けてある方を指差した。