「そういやうちに炊飯器なんてあったか?」
「白米はお鍋で炊けるのよ」
「マジかよ……」
同じような会話をつい先日もしたような気がする。
高嶺は「莉央はすごいな」と実に真面目な表情で朝食を平らげた後、お弁当を受け取りそのまま莉央をハグする。
「今日は昨日より俺を愛してくれ。行ってくる」
高嶺の言葉に、ずきりと胸が痛んだ。
慣らされそうな気がした。
このままなんとなく、高嶺から向けられる熱に、嵐のように巻き込まれて、流されるような気がした。
(怖い。自分がどうなるかわからない……。)
プルルルル……。
スマホが着信を知らせる。
見れば設楽からだった。