「莉央、おはよう。昨日はよく眠れたか?」
「……全然」


 寝ぼけ眼をこすりながら莉央は卵焼きをひっくり返す。

 実際、目が冴えて一睡もできないまま朝を迎えてしまった。
 今朝だって、どんな顔をしていいかわからなかった。


「あなたのせいです」
「そうか」


 本気で人のせいにしたいわけではないのだが、憎まれ口の一つくらい叩いてもバチは当たらないだろう。

 だが何故か高嶺は楽しげに笑い、そのままシャワーを浴びに行ってしまった。


「ほんと、調子狂うんだから……」


 本日の朝食は白いご飯と大根のお味噌汁、卵焼きにおひたしである。

 カウンターの上のメニューを見て、高嶺は怪訝そうに眉をひそめた。