莉央は体を引き寄せられながらも、高嶺の自分を見つめる眼差しから目がそらせない。

(夢みたい……頭がぼうっとする。)

 まるで高嶺という美酒に酔わされたような気分である。

 上体を反らすように、それでも彼の目を追いかけていると。

「莉央……」

 高嶺は軽く体を曲げ、莉央の唇にそっと触れるだけのキスを落とした。

 触れるだけのキスに、陶酔に似た高揚感で全身が包まれる。

(怖い……こんなの私じゃないみたい。)

 莉央は震え、そして泣きたくなった。


 そんな莉央を見て高嶺もまた、
「ああもう……」
 切なげにため息をついて、莉央の体をきつく抱きしめる。


「もう一度、したい。いいか?」