「莉央、俺を見ろよ」
「なんで、そんなこと」
「いいから」


 少し焦れたように言われて、莉央は自分の肩に頭を乗せたままの高嶺にちらりと目線を向ける。

 キラキラと輝いて、切なげに自分を見つめている青墨色の瞳とぶつかる。

 莉央は自覚している。

 この目に私は弱いのだ、と。
 だから見てはいけないのだと。


「画を見たいと言ったのは、莉央を知りたかったからだ。この頭の中で何を考えているか、この目で、何を見ているのか、どうしても知りたかった」


 莉央はこの男を無視することができない。

 好きの反対は無関心だと言われる。
 知りたいと思うことは、もう好意なのだ。


「莉央、俺に見られるのは嫌か?」
「……っ、それは」