この話題を終わらせたいと思う莉央をよそに、高嶺はうつむく莉央の顔を覗き込んできた。


「莉央。俺は今、自分の理性と戦ってる」
「え?」


 高嶺がそのまま甘えるように莉央の肩に頭を乗せささやく。


「お前が可愛いことを言うから辛い……」


 自分も同じボディーソープ類を使っているはずなのだが、なぜか高嶺から嗅いだことのないようないい匂いがする。

 胸の真ん中がギュウギュウと締め付けられて苦しい。


「辛いって……言われても困る」

(それなら私だって辛い。ドキドキして、苦しくて。訳がわからない。)