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 風呂上がりの高嶺が、リビングのテーブルに画を広げた莉央の左隣に座る。


「これ、どうやって描いてるんだ」


 彼が指をさしたのは、厚塗りで仕上げたアボカドを描いた一号サイズのパネルだった。


「これは、まずアボカドの緑の下塗りをしてから、画面全体に赤の下色を塗ってあるの。で、水筆でアボカドの上だけ下色を拭うように取るの」

 少し早口になってしまった。うまく説明できたかどうかはわからない。
 だが勘のいい高嶺はそれで理解したようだ。


「ああ、だから全体的に赤くて、アボカドがぼうっと浮かんで見えるんだな」


 至極真面目に頷き、もっとよく見ようと莉央に身を寄せてきた。