「あ、これ、お夜食にでもしてください。つくってしまったので、お弁当……」


 ランチ会議では必要なさそうだが、サンドイッチを作っていたので高嶺に差し出す。

「莉央!」
「だからそういうのいりませんっ!」


 抱きすくめられそうになり慌てて逃げる莉央だった。



「なるべく早く帰る」と、後ろ髪引かれながら出勤する高嶺と、そんな彼に呆れ気味な天宮を見送った莉央は、いつまでも熱がひかない頬を両手で押さえる。


(私、変だ……。困らせようと思っても困らされてばかり。だけど……高嶺といると、私、大きな声で自己主張ができる……。)

 もちろんその自己主張は高嶺にどんどん言いくるめられてばかりなのだが。