「ということは、莉央さん新しい彼と結婚したいから別れたいってわけじゃないんだ」
「違います。父と祖母を看取ったあと、母に背中を押してもらえたんです。もう、好きに生きていいって」
「なるほど……」
「それよりも天宮さん、設楽先生のこと調べたんですか?」


 なんとなく気分が悪い莉央は、少し問い詰めるような口調になってしまった。


「うん。だっていきなりの離婚請求だったからさ。理由があるのかなって思ったんだよ。ただ俺としては最初に言った通り、莉央さんがやっぱり離婚したいなら綺麗に別れられるようするつもりだから」
「え?」
「高嶺もね、一応名の知れた経済人だから、週刊誌とかに面白おかしく書かれると会社のダメージに繋がるからね。だからこう、できるだけダメージ少なくしたいんだよね。ごめんね、最後までこっちの都合で」