天宮の言葉に手が止まった。
どういうことかと顔を上げると、至極真面目な表情の天宮と目が合う。
「莉央さん、好きな男がいるんでしょ?」
「はい? あ、そういえば高嶺も、設楽先生のことをなんとか言ってましたけど……。私、先生とそういう関係ではありません」
「えっ、本当?」
目を丸くする天宮。
「当たり前です。私一応結婚しているんですから……そんなこと絶対にしません。心外です」
「……それ、彼も同じ気持ち?」
「それは……」
天宮の言葉に詰まる。
それは肯定の意味になってしまうのだが、うまくごまかすことなど莉央にはできなかった。
「ああ、ごめん。それは設楽さんの気持ちの問題だね。あなたはなにも悪くない」
そんな素直な莉央の反応に天宮は驚きつつも、言葉を重ねて尋ねる。