不意打ちを受けた天宮は勢いよく吹き出すと、そのあと体のくの字にして笑い始めた。
「なっ、なにそれっ……! おそらくって! なに、嫉妬しすぎで熱出たってこと!? しかもその自覚があるからおそらくなの!? 嘘でしょ、冗談キツいわ!」
「冗談で済むなら俺も楽でいいんだがな……」
「いやいやいや! 初恋こええー! 異常に丈夫な高嶺に熱出させる初恋こええー!」
まさか朝からこんな爆弾を落とされると思っていなかった天宮である。
「いやぁ、なんていうかここイチで笑ったわ……やっべぇ」
目尻に浮かんだ涙を指先で拭いながら、天宮は憮然とした表情のままの高嶺の隣に腰を下ろし、フゥとため息を吐く。
「まぁ、知恵熱なら問題ないか……。今日、十二時からランチ会議、そのあと雑誌の取材だから。これどっちも高嶺が必要だからね。すぐ用意して。でもスーツじゃなくてジャケットでいいよ」
「わかった。シャワー浴びてくる」