なにもかも高嶺のせいだ。


「失礼しますっ!」


 莉央は顔を真っ赤にしたまま、ヨロヨロとベッドルームを出て行く。
 そんな莉央の後ろ姿を見送った後、天宮は今度は高嶺に視線を向けた。


「とんだ溺愛ぶりだね。あんまり相手にされてないのがウケるけど」


 莉央が倒れた時に猫でも拾ったと思って看病しろと言ったことを思い出す天宮である。
 まさに親友は、猫を溺愛するが相手にされない男そのものだ。


「で、実際のところ具合悪いの?」
「いや、おそらく知恵熱だな」
「おそらく、知恵熱?」


 高嶺が何を言っているのかわからない天宮は首をかしげる。


「昨日のあれで、考えすぎた」
「昨日の……ブホッ」