「ふぅん……。さすがに間男連れて夫のところには来ないか……。でもやっぱり、普通は好きな男が出来て、どうしてもその男と再婚したいんだって考えるのが自然な気がするな。じゃないと毎年一千万の援助されて、亭主元気で留守がいいなんて、こんな最高の条件の結婚、やめないでしょう」
「今年の分は返されたから、九千万だ」
「あ、でも結納金の五千万もあるよ。合計一億四千万」
「……元は取っただろ」
「まぁね」

 意味深に、王子様は微笑む。

「じゃあ相手はそれなりの資産家かもしれないね。一応調べたほうがいいんじゃない。同業他社だったら目も当てられないよ。『IT界の若き帝王、寝取られる』って週刊誌に見出しがのる」

 冗談めかした天宮の言葉に高嶺は眉間にしわを寄せた。

「最悪だな」
「まぁ、ちょっとだけ笑われるかもしれない」
「ちょっとで済むか」


 高嶺は舌打ちし、足を組み直した。