「昨日は苦しかった。頭がおかしくなりそうだった。でもこうやってまたお前に触れると幸せな気持ちになるんだ……」


 低く甘い声で高嶺は愛おしげにささやき、それからギュウッと抱きしめる。
 そして莉央の前髪の生え際に、高嶺の高い鼻が触れる。


「甘い匂いがする」
「やっ、やだ、困りますっ……!」
「困る?」
「息が、できなくなるし! 心臓が、」
「その調子で俺を意識してくれると嬉しいんだが……」
「……意識……って、なんでそうなるの……嫌いって言ってるのに!」
「そうだな……だけど俺は諦めない。どれだけ苦しくても、やめない……」



 どうして自分なのかと、莉央は思う。