「あの、高嶺さん、起きてください。会社の人が来ましたよ」


 丸まった布団に話しかける。
 返事はない。


「やっぱり具合悪いんですね。お医者さま呼びましょうか?」


 ベッドに近づいて肩のあたりに触れたその瞬間、バサッと毛布が持ち上がり、腕をつかまれベッドの中に引きずり込まれていた。


「きゃあっ!!」


 一瞬何が起こったのかわからなかったが、腕の中に囲うようにして、高嶺に押し倒されている。


「たっ、高嶺さん、ちょっとっ……近す、ぎ、」
「……忘れてた」
「な、なにをですかっ!?」
「莉央に、ささやくのを」