高嶺を起こしたほうがいいだろうかと迷っていると、
『あ、莉央さん? 俺は天宮翔平といいます。タカミネコミュニケーションズの副社長で、高嶺とは二十年の付き合いです。怪しいものではありません。合鍵も持っているのですが、事前にお知らせしたほうがいいと思って連絡しています』
柔らかな声がして、自己紹介と説明を始めた。
『今日、大事な会議があるのであいつが来ないと困るんですよね。今から上がりますけど、いい?』
「は、はい、わかりました。お待ちしています」
大事な会議?
やはりとりあえず起こしたほうがよさそうだ。
莉央は意を決して高嶺のベッドルームへと足を踏み入れる。