「ああ、そうだったな……」
莉央が別れたいと言い出した理由を調べると、天宮は確かに言っていた。
報告書が上がってきたということは、何かしらわかったのだろう。そしてそれが高嶺にとっていい話ではないということも、天宮の表情から明らかだった。
ファイルに手を伸ばしかけて、ふと自分の指先が震えていることに気づいた。
(震えてる……俺が? 怖いのか、知ることが。)
指先をぎゅっと握り締め、広げる。
それを見ていた天宮が助け舟を出した。
「マサ、俺から説明しようか?」
「いや、自分の目で確かめる」
ファイルを開いて文字を目で追った。
【結城莉央。二十六歳。京都の名門女子高、◯△女学院出身で、成績は非常に優秀だったが、卒業後は祖母の介護を理由に進学せず。】