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 シブヤデジタルビルの一階にあるフラワーショップから、配送完了の連絡を受け取った高嶺は、昨日の莉央の驚いた顔を思い出して、今日も喜んでもらえるだろうかと考えていた。

 莉央が花が好きだと言った時は、正直そんなものでいいのかと思いもしたが、選ぶ側の立場で考えてみれば、毎回違う花を贈るというのもなかなか手間のかかる作業である。

(だが、莉央は本当に花が好きなようだ。いけられたチューリップを見て嬉しそうだったしな。)

 そうやっていい気分に浸っていると、
「今いい?」
と、天宮が社長室に姿を現した。


「どうした。なにかまずいことでもあったか」


 なんとなく複雑そうな表情を浮かべた副社長は、手に大きなファイルを持っている。


「んーまぁ、楽しいことではないだろうね」


 天宮はファイルをそのまま高嶺のデスクの上に置く。
【結城莉央について】とラベルが貼ってある。


「なんだこれは」
「奥方様が来た初日に言ったでしょ。調べるって」