そして高嶺はソファから立ち上がってキッチンへと向かう。
「今日の弁当ありがとう。美味しかった。ちなみに明日からはやめてしまうのか?」
「それはやめないわ。約束したんだから」
「そうか」
高嶺は肩越しに振り返ってにっこりと笑う。
「明日も楽しみにしてる」
「……わかりました」
そして高嶺は鍋を覗き込んで、「おお……」と感嘆の声をあげる。
「莉央はもう食べたのか?」
「まだです、温めますから待ってください」
「手伝いたいが、どうしていいか全くわからん」
「そうね、邪魔になるから座っててくれた方がマシよ」
莉央としては嫌味を言ったつもりなのだが、高嶺は特に不機嫌な様子もなくうなずいた。