莉央は、ソファの隣で、自分を心配そうに見つめる高嶺に目をやる。


(だけどこの男なら、いい。私をうんと傷つけるこの男になら、私は好き勝手振る舞える。それで嫌ってくれたら一石二鳥だし。)


「ところで私、とてもわがままなの」
「そうなのか?」


 少し意外というふうに高嶺が目を丸くする。


「そうよ。だからすぐに嫌になると思います」
「ふぅん……」


 莉央の言葉に、高嶺はなんだか楽しげに唇の端を持ち上げる。


「それは楽しみだな。せいぜいわがままの趣向を凝らして、俺を困らせるといい」


 その笑顔は実に不敵で、彼の闘志に火をつけたような気がして莉央を不安にしたが、莉央はきつく唇を噛み締めて背筋を伸ばす。


「ええ。覚悟して」