「今更そんなこと、言わないでよ……」


 胸の奥から熱い塊のような何かがグウッとこみ上げてくる。

 この男には自分の心をひとかけらだって晒したくないのに、なぜかこの男だけが莉央の心を裸にしてしまう。


「私のこと、放っておいたくせにっ……人間扱い、しなかったくせにっ!」


 叫ぶと息が吸えなくなった。呼吸ができず、頭がクラクラする。

 思わずその場に座り込むと、高嶺が慌てたように駆け寄って莉央の肩をつかみ、胸の中に閉じ込めるよう抱き寄せた。


「だからもう放っておかないと言ってる……!」


 高嶺の体は熱く、吐息も、腕の力も、全てが圧倒的で、反抗するにはあまりにも大きく、強すぎた。


「やっ……」