「いやっ……」


 震えながら莉央は首を横に振った。


「どうしてそんなこと言うの! 私なんかどうでもいいから放っておいたんじゃないの!?」
「今までは……確かにそうだった。結婚相手が誰かなんて考えたことがなかった」


 高嶺の言葉に莉央の顔が歪む。


「だがお前が俺の目の前に現れてから、全てが変わったんだ」
「やめて……」
「莉央、お前が欲しい。どうしたら俺を愛してくれる?」


 切々と語る高嶺の声は真摯で、莉央の目はそれを【真実】だと受け止めていた。
 だからこそショックだった。