「わかった。いや、わかってないが、とりあえずお前の主張はわかった。泣くほど嫌ならプレゼントは……返品する」


 そして高嶺は、肩で息をする莉央にそっと近づいて、長身の体を丸め、顔を覗き込む。


「代わりに何か欲しいものはないか」


(そんな優しい声出さないで!)

 耳を塞ぎたくなる。


「ないわ。離婚届くらいよ……。いつになるの!?」


 苦しくて、思わず懇願するような声が出る。

 だが莉央の問いに高嶺は眉根を寄せ首を振り、そして意を決したように言い放った。


「それは出来なくなった」
「えっ……?」
「さっきも言っただろう。俺はお前が欲しいんだ。手放したくない、離婚はしない」


 頭のてっぺんに雷が落ちたような衝撃を受ける。