(なんでだろう。情けない……もう、高嶺と話してると私いつも泣いてしまう……。)

 十六で結婚してから、いろんな事を諦めた。
 気がつけば喜怒哀楽をあまり出さないようになった。

 けれどその元凶になった高嶺と向き合っていると、莉央の心は激しくかき乱されるのだ。

 嫌いとかそうじゃないとか、そんな次元の問題ではなく、高嶺だけが良くも悪くも莉央の感情を突き動かしてしまう。


「……莉央、泣いてるのか」


 高嶺が動揺したようにソファから立ち上がる。


「泣くな、莉央」
「泣かせてるのはあなたです……!」