「ふざけないでよっ!!」
「ふざけてなどいない。莉央、俺は本気だ」
「本気って、十年顔を会わせないで、いざ離婚しようとなってそういうこと言う神経が信じられないって言ってるの!」


 怒りのあまり頭がクラクラする。
 気が遠くなるのを必死に収め、莉央は高嶺の体の下から彼を睨み返した。

「そんな顔をするな」

 だが高嶺はほんの少し困ったように眼を細めるだけ。ご機嫌をとるかのように、リビングに積み上げてるプレゼントを振り返った。


「あれはお前へのプレゼントだ」
「……っ……いらないっ!」
「は?」
「欲しくない! 宝石もバッグも靴も洋服も、全然欲しくないっ!」


 そして莉央はなんとか高嶺の体の下から抜け出して、うっすらと浮かぶ涙を手の甲でぬぐった。