設楽に触れられた時とは違う。
 莉央が欲しいと素直に告げる高嶺は【男】だった。
 

「莉央、お前に触れたい。その目で他の誰でもない俺を見て欲しい」


 全てをさらけ出す熱い目で、高嶺の手が莉央の肩を包み込む。
 高嶺の膝が莉央の両足の間に割って入る。

 気がつけば肉食獣に捕食される小動物のように、ソファに押し倒されていた。


「な、なんでっ……?」


 一方莉央は大混乱だ。

 今日、いきなり設楽と高嶺、まったく違うタイプの男に思いをぶつけられた。
 自分一人が置いてけぼりにされている気がして、息ができなくなる。


「なんでって、理由なんてあるか。ああ、翔平は『それは恋だ』なんてふざけた事を言っていたが……」
「こい……恋?」


 その瞬間、莉央は両手で高嶺の胸を押し返していた。

(馬鹿にしてる……!)