悲鳴をあげた恥ずかしさでしどろもどろになるが、高嶺はあっけらかんとした様子でうなずく。
「まぁ確かに、眠り姫はキスで起こすもんだよな」
「はぁっ!? なっ、なに言ってるの、冗談でもやめて!」
「冗談じゃない」
高嶺は低い声でささやく。
「莉央、お前にキスしたい」
面と向かってキスしたいなどと言われたのは人生初めてのことだった。
まったく男に免疫のない莉央は、高嶺の言葉に、羞恥と戸惑いとで全身が熱くなる。
「莉央、お前が欲しい」
莉央はその時改めて気づいた。
この、高嶺という男の、人を惹きつける熱に。
熱っぽく響く声と、切れ長でまっすぐな青墨色の瞳に宿る、色気に。