「……莉央」


 大きな手が肩に触れて、それから指先が首筋に触れた。

「……んっ……」

 くすぐったくて身をよじると、こめかみの辺りに吐息が触れた。


「莉央。ただいま」


(え……?)


 ぼうっとした頭でまぶたを持ち上げると、至近距離に端正な男の顔があり、心臓が口から出そうなくらい驚いた。


「きゃああっ!」
「なんで叫ぶんだよ」

 高嶺が驚いたように目をパチパチさせる。

「やっ、だってびっくりするでしょう!?」


 莉央の心臓はまだドキドキしていた。
 高嶺はソファの背もたれの部分に手をつき、最大限、莉央の顔に顔を近づけていたのだ。


「起こすにしても、他にやりようがあると思うんだけどっ……」