まっすぐに、値踏みするような夫の目線を受け止めた。
 高嶺が一瞬、気圧されたように戸惑う。


「初めましてこんにちは。あなたの妻です。早速ですけど離婚してくださる?」
「は?」
「羽澄」


 莉央は後ろに控えていた羽澄を肩越しに振り返る。

「はい」

 羽澄は持っていたアタッシュケースを、腕を組み立っている高嶺のデスクの上に置きケースを開ける。

「離婚届と今年のお金です。今までお世話になりました」

 莉央は立ち尽くす高嶺の前に立ち、上品に微笑んだ。