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「ごちそうさまでした」
「うん、よく食べましたね。よかった」
ニコニコと笑う設楽自身は、日本酒と焚き合わせをつまむだけであまり食べないようだった。
「先生は召し上がらないんですか?」
「今日は夜に付き合いがあってね。さんざん飲まされるから控えめにしているんですよ」
「大変なんですね」
苦笑する設楽に思わず同情してしまった。
京都を離れたのも公私の区別なく人が押しかけてくるからで、その点東京は人が多すぎるから、案外表面的な付き合いでなんとかなるもんですよと言ったのは設楽である。
「まぁ、こればかりはね……。いっそ日本を出ようかと最近は考えているんです」
「えっ!」
困ったように微笑む設楽を見て、思わず大きな声が出てしまった。